「CORDURA(コーデュラ)」は、高い強度と高性能なことからアウトドアを中心に人気の素材です。しかし、どのような性能があるのか理解していない人も多いのではないでしょうか。そこで、今回は最近話題の「CORDURA」について解説します。
素材の特徴はもちろん、強度や耐久性からメリットやデメリットまで紹介します。また、主な使用用途にも触れていますので初めての人でもわかりやすい内容です。
CORDURA(コーデュラ)とは?
CORDURA(コーデュラ)は、アメリカのインビスタ社が製造している高品質な素材です。生産はインビスタ社が認定した工場でのみ行われるため、厳格な環境下で管理されています。また、素材の糸はインビスタ社製のものだけを採用する「こだわり」も高性能をキープしています。このように、一貫した品質管理によって他社との差別化を図り、CORDURAの信頼性と高品質を保証しています。
他社との差別化と品質保証は生産段階だけでなく、商品完成後も継続します。具体的には、製品に「CORDURA®fabric」のライセンスタグが付けられる点です。タグが付けられることで、CORDURAブランドであることを顧客に証明しています。
CORDURAの時代背景
CORDURAを手がけるインビスタ社は、もともとアメリカの大企業であるデュポン社の繊維部門で化学繊維商品の開発を行なっていました。そして、1967年「ナイロン66」といった革新的な素材を発表します。
ナイロン66は人工合成繊維の一種で、その強度と耐久性は高く評価され、後のCORDURAの基礎を築くものでした。1970年代に入るとCORDURAの高品質な特性は広く認知され、さまざまなアウトドア用品に活用されます。
1980年代には、アウトドアだけでなくファッションブランドにも広まっていきました。そして、近年では環境にやさしい素材やワークウェアなどの開発も注目されており、CORDURAの可能性はさらに広がりをみせています。
バリスティックナイロンとの違い
CORDURAとバリスティックとの違いは以下の一覧表のとおりです。
CORDURAナイロン | バリスティックナイロン | |
製造元 | インビスタ社 | デュポン社 |
強度(糸) | 通常ナイロンの7倍 | 通常ナイロンの5倍 |
デニール数 | 100-1,000D | 800-1,700D |
素材の重さ | 軽い | 重い |
素材の厚さ | 薄い | 厚め |
金額 | 安い | 高い |
デニールとは繊維の太さを表す単位で、アウトドアに精通している方であれば一度は耳にしたことがあるでしょう。この単位は「D」の記号で表記され、基本的に数字が大きいほど繊維は重くて厚く、数字が小さいほど繊維は軽くて薄いと認識できます。
CORDURA(コーデュラ)の3つの特徴
CORDURAは多面的な特性を持つ素材として、数多くの場面に適しています。それでは、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、CORDURAの主な3つの特徴を紹介します。
強度(耐久性)
CORDURAの強度と耐久性は、広く認知されています。この特性は、過酷な条件下での使用を想定した登山用品やアウトドア用品などで、頻繁に採用されている点からみても明らかです。また、CORDURA素材は強度以外にも摩擦や擦り切れに対する高い耐性も実証されています。
撥水性
CORDURAの特徴として「撥水性」があげられます。撥水効果を出すために、素材の裏面に「ポリウレタン加工」を施しています。ポリウレタン加工は生地の表面にポリウレタンを塗布することで、生地に伸縮性や撥水性などを与える方法です。
この加工により、アウトドアやスポーツなどで突然の雨やトラブルが起きても内部まで水分が浸透するのを防ぎます。しかし、撥水性は水を弾く力だけであり、完全防水ではない点は注意しましょう。
軽さ
CORDURAは強度と耐久性から「重たい」イメージがありますが、実際は特徴とは異なります。ナイロンの強みである軽量性は、CORDURAに引き継がれています。たとえば、バックパックやミリタリーブーツは使用者の負担軽減のために軽量性が求められます。
また、荷物の保護や長時間の使用に耐えるためには耐久性も必要です。CORDURAは「軽量かつ耐久性がある」素材として、これらの要求にマッチしているといえます。
CORDURA(コーデュラ)のメリット
ここでは、CORDURAのメリットを詳しく紹介します。
ナイロンの7倍の強度
CORDURA最大のメリットは、驚異的な強度です。ナイロンは合成繊維であり、その強度は天然繊維の綿の10倍といわれています。一方、強度の高いナイロンに対しCORDURAはその7倍の強度があります
幅広く商品展開している
CORDURAの素材は多面的な特性を活かすことで、さまざまな商品作りに役立てられています。日常的に使用できるバッグや帽子、アウトドア用品まで、あらゆる分野で活躍しています。そのため、高品質で耐久性のある商品を求めるユーザーから高い評価を受けています。
環境に配慮している
CORDURAは、環境に配慮した生地作りをしている点も大きなメリットです。「CORDURA®eco」と呼ばれる生地は、工場から回収した廃棄物を再生して製造します。また「CORDURA®eco made canvas」と呼ばれる生地は、リサイクルペットボトルから再糸を作り出し、生地の製造に再利用しています。
リサイクル素材の利用は環境への影響を抑えるだけでなく、環境保護にも寄与する重要な取り組みです。
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CORDURA(コーデュラ)のデメリット
耐久性や高い強度が魅力のCORDURAですが、デメリットもしっかりと理解しておく必要があります。ここでは、具体的なデメリットを3つ紹介します。
防水性の低さ
CORDURA素材の撥水性は、多くのユーザーに認知されていますが「防水性」とは異なります。防水性は水を完全に防ぐ性質に対し、撥水性は水をある一定弾く性質を持ちます。そのため、大雨や水が浸透する状況ではCORDURAは不向きな素材といえるでしょう。
熱に弱い
CORDURAの素材は、熱への耐性が高くありません。真夏の高温下で使用すると、素材が変形したり劣化したりするかもしれません。また、保管場所も室温や管理方法などにも注意が必要です。CORDURAを使用する際は、温度管理が必要な点はデメリットといえるでしょう。
色落ちしやすい
CORDURA素材のデメリットは、色落ちしやすい点です。とくに、長時間直射日光にさらされたときに顕著に現れます。黒や紺といった濃い色を使用している場合は、経年劣化による色あせが目立つかもしれません。
さらに、CORDURA素材は摩擦による影響も受けやすいです。生地が擦れた際、白い線跡が残り、汚れが落ちにくいといった問題が発生します。
CORDURA(コーデュラ)の8つの種類
CORDURAは、多様な特性を持つ8つの生地に分けられます。それぞれの種類は異なる特性を持ち、ユーザーのニーズに対応しています。ここでは生地の特性を詳しくみていきましょう。
クラシック
CORDURAシリーズの中でも歴史が古く、「原点」とも呼べる素材です。特殊加工されたナイロン66を高密度に織り込むことで、業界トップクラスの強度まで品質を高めました。そのため、過酷な環境下でも使用可能であり、世界中のさまざまなシーンで重宝されています。
製品のラインナップも多彩で靴やバッグ、オートバイウェア(保護用アウター)など幅広い用途で利用されています。
エコキャンパス
「エコキャンパス」は、その名前が示すとおり、環境に配慮されて作られた生地です。高品質のCORDURA糸とリサイクルペットボトルから再生した糸を組み合わせ、エコ商品でも通常と遜色ない高いクオリティを実現しています。
また、生地には油や水に強いテフロン加工が施されているため、長期間の使用にも耐えられる点も大きなメリットです。
スパン
CORDURAの耐久性と軽さを活かしながら、独特のシワやムラ感を演出した生地です。初めに糸自体を液流染めすることにより、ほかの生地とは違った味わい深い雰囲気が完成します。
液流染めは別名ジェット染色とも呼ばれ、生地を染液の流れに乗せて移動させながら染め上げる方法です。この工程により、生地には独特の色合いや風合いが生まれます。
コーデュラP
CORDURA生地に、耐水性を追加した特別な素材です。特殊なウレタンコーティングにより、高い耐水性を実現しています。なお、デニールの数字についている「P」はポリエステルを指しています。
N/CコーデュラRIP
「N/CコーデュラRIP」の最大の特徴は、コットン混紡糸を使用している点です。生地を織り上げるとき、縦方向の糸(経糸)と横方向の糸(緯糸)にCORDURA独自の混紡糸が用いられます。
N/CコーデュラRIPは強度と耐久性を保ちつつ、ソフトで快適な質感を持つ素材として開発されました。
ツイル
主に、デニムなどで用いられる「綾織り」技法で仕上げられた生地です。綾織りとは、縦糸と横糸を交差させて織り上げる方法で「斜文織り」とも呼ばれています。この素材最大の特徴は、耐久性と軽量性に加えて上品な雰囲気を備えている点です。
このような利便性の高い素材ゆえ、大衆向けのシューズやカジュアルなアイテムに広く利用されています。
バリスティック
インビスタ社が商品登録を行っている「バリスティックナイロン」に、CORDURAを掛け合わせた特殊な生地です。強度や耐久性の秀逸さから軍事用の防具や防弾チョッキなど、戦場で必須となるアイテムにも採用されています。
エアーバリスティック
エアーバリスティックは、性能自体は「CORDURAバリスティック」と同じですが、軽量化を目的に「中空糸」を採用している生地であることが特徴です。2019年の2月に登場した新素材で、「軽くて強い」といった優れた特性により従来のものとは一線を画します。
以上の特徴から、エアーバリスティックはバッグやリュックなどの製品に利用されています。
CORDURA(コーデュラ)の使用用途
CORDURAは、さまざまな分野でその有用性を発揮する生地です。ここでは、CORDURA生地がどのような用途で使用されているのかを詳しく説明します。
アウトドア
多くの種類があるアウトドア用品において、CORDURA素材は耐久性と強度の優秀さから有名ブランドに採用されています。自然環境下での使用条件を前提としており、高い強度と耐久性が求められるためです。
具体的には、テントやタープ、バッグなどのアウトドア商品にCORDURA素材が使用されています。これらの商品は雨風や荷物の重みなど、外部からのさまざまなストレスにさらされることも多いアイテムです。
CORDURA素材は外部の脅威に対する高い耐性を備えているため、商品の寿命を延ばし、ユーザーに対して信頼性と安心感を提供しています。こうした特性から、CORDURA素材はアウトドア愛好家だけでなく、さまざまな人々から高い評価を受けています。
カジュアルスポーツ
CORDURAスパンの生地は高い柔軟性と撥水性を持つことから、ウェアやパンツの商品でも利用されています。日常生活からレジャーやスポーツ、さらにはビジネスでの使用にも適しています。
たとえば、アウトドア活動やフィットネス、ランニングなどのスポーツウェアには耐久性と伸縮性が必要です。CORDURA(コーデュラ)スパンは、長時間の使用にも耐えうる柔軟性と強度を持っています。
ワークウェア
肉体労働を伴う作業着は作業の激しさもあるため、耐久性が低いとすぐにボロボロになってしまいます。また、汗を大量に放出する仕事では、快適に着られる作業着は誰もが欲するところでしょう。
こうした過酷な労働環境に身を置いている人向けに、CORDURAは高い耐久性と快適性を持つワークウェアを数多く展開しています。作業服や工具ベルト、作業靴などを多数揃え、CORDURAは多くの職人に安全で快適な環境を提供しています。
ミリタリー
過酷な戦場に赴くこともあるミリタリー(軍人)向けに、数多くのアイテムを展開しています。CORDURAの素材のクオリティの高さがミリタリー用品に必要とされている大きな要因で、軍服やブーツ、防弾チョッキ、バッグなどあらゆる種類のアイテムにCORDURA素材が使用されています。
まとめ
本記事では、アウトドアを中心に人気の素材であるCORDURA(コーデュラ)について詳しく解説しました。驚異的な強度と耐久性を持つCORDURAは、その特性を活かして多岐にわたる用途で活用されています。
アウトドア用品からカジュアルスポーツ、ワークウェア、さらにはミリタリー用品まで、その適用範囲は広範です。また、CORDURAは環境に配慮した生地作りにも積極的に取り組んでおり、環境保護にも貢献しています。高い強度と耐久性のある商品を探している方は、今回の情報を参考にCORDURA生地のアイテムを検討してみてください。